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優しい気持ち

優しい気持ち


「・・・・・」
真夜中―――正確に時刻はわからないけれど、夜もだいぶ更けた頃、不意に眼が覚めて、俺は重たい瞼を何度か瞬きしながら抉じ開けた。
「どうした?」
唐突に、低く囁くような声が振ってきて、俺は虚ろだった意識が一気に覚醒したかのように上体を跳ね起こした。
「―――何だ、いきなり。」
呆れたような声と共に、ふわり、と頭の上に柔らかな感触が触れ―――優しく撫でるような動きの後、其れは俺の瞼の所まで移動して来た。
―――中嶋さんだ・・・。
暗闇の中、視界がはっきりしていなくても俺には判る。
例え声を聞かせて貰えなかったとしても―――判ると思う。
皮膚や、其れ以外の全神経全てで感じられる温もりや感触、匂い―――全てが、俺の大好きな人のものだと告げている。
「まだ早い。もう少し寝ていろ。」
まるで瞼を閉じさせようとするかのような其の動きに―――俺は抗議する代わりに中嶋さんの其の手を掴んで引き寄せると、唇を寄せてわざと音を立てるようなキスをした。
「・・・・・」
驚いた様子も無く―――暗闇で見えないので表情までは伺えなかったが、掴んだ手首からは何の反応も伝わっては来なかった。
ちょっとぐらい驚いてくれたって良いのにな―――俺は、少しだけ拗ねて、掴んだ中嶋さんの手を離さずに握り締めていた。
「――――・・・」
神経質そうな細く長い指は、綺麗でしなやかで、俺を夢中にさせるのも、俺を思い通りにさせるのも―――何時だって其の指だった。
すり、と俺は大好きな其の指先に頬擦りをして―――其れから、ん?と不可解なものを感じて、鼻先を中嶋さんの指に擦り付けた。
「―――中嶋さんは?起きてたんですか?」
くんくん、と鼻を鳴らしながら上目使いに視線を向けると―――勿論、中嶋さんの表情を伺う事は出来なかったが、何となくバツの悪そうな顔をしたような気がした。
「たまたま目が覚めただけだ。」
そう言うと、俺が握り締めていない方の手を持ち上げると、其の侭口許へと運ぶ。
「―――――」
其の先には、仄かに紅い光りがちらりと見えて―――ああ、やっぱり吸ってたんだな、と思って、苦笑いが洩れた。
微かに俺の鼻先を掠めた、嗅ぎ慣れた其のつん、とするような匂いは―――中嶋さん愛用の煙草の匂いで、俺の大好きな匂いでもあった。
本当は、未成年である中嶋さんの喫煙を咎めるべきなのだろうけれど、中嶋さんの香りだと思うと、煙草の匂いですら愛おしさを感じてしまう。
「・・・・・」
そういえば、俺が目覚めた時―――煙草の火は見えていなかったな、と思い、改めて中嶋さんの口許で灯る煙草の光りを見詰める。
もしかしたら、隠してたのか―――其れとも、俺に煙が当たらないように避けてくれていたのか。
どちらだったとしても―――俺は無性に嬉しくなってしまって、思わず握っていた中嶋さんの指先を、きゅぅ、と抱き締めてしまった。
「―――――」
すると、突然、する、と中嶋さんの指先が擦り抜けて―――其れまでそんな気配も無かったので、まさか逃げられるとは思っていなかった為、簡単に中嶋さんの指先の逃亡を許してしまった俺は、呆然としてしまっていた。
「・・・っ―――」
不意に、今度は俺の背中に腕が回ったと思う間も無く、上体が引き上げられて―――元から半分起き上がっていたような体勢だったが、中嶋さんの胸の中へ抱きかかえられるような体勢にさせられる。
「―――こうしててやるから。もう少し寝ろ。」
俺の仕種から何を思ったのか―――中嶋さんは、俺の肩を少し強い力で抱き寄せるように自分の胸元に押し付けると、まるで不安がる子供を宥めるようにぎゅっ、と其の指先に力を入れた。
「―――――」
俺は、心の中が安心感で満たされるようなそんな幸せに酔いながら、中嶋さんの胸元に頬を摺り寄せる。
「―――ん・・・」
おやすみなさい、と吐息だけで囁いて、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
此の侭、ずっとこうしていたいな―――なんて思いながら。
もう少しだけ、朝がゆっくり来れば良いな―――なんて願いながら。






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